株式会社OKAN 支援事例フェーズ0:それまでのOKAN

株式会社OKAN
支援事例 株式会社OKAN 株式会社OKAN 支援事例フェーズ0:それまでのOKAN
記事概要:弊社支援前の株式会社OKAN(以下:おかん)は、マーケティング施策の中心にオンライン広告を置いていた。しかし、競合の出現と広告費用が高騰している状況に苦慮している状態だった。マーケティングの施策はランダムに行われており、足元の数字を上げるため短期的な目線の施策に傾きかけ、より中長期的に競合にも接触されない領域からリード獲得やMQL獲得、そこからの商談創出にマーケティング部門が貢献することが求められていた。そんな中、自社のオウンドメディア「おかんの給湯室」を再興させ、そこからリード獲得、MQL創出、さらには商談創出までを行う体制を作ることが急務だった。
外部コンサル&記事60本費用
400 万円
セッション数/月
4.8

戸栗:2022年2月頃にベンチャーキャピタリストのグローバルブレインさん経由で御社のご支援に関わることとなりましたが、それまでのマーケティングの活動として、どういった課題があったかとか、どういうことをどなたとされていたかを簡単にお聞かせ願えますでしょうか。

株式会社OKANの三浦さんと清水さん

(三浦さん(左)と清水さん(右))

三浦さん:当時弊社のCMO候補として、マーケティングの責任者として入社した今村がいた際の課題として、マーケティング施策が目先の新規獲得みたいな部分のみになってしまっているというのがありました。

戦略を描いて、こういうことをやっていこうみたいな長い目線がなく、足元の活動ばっかりで中期的な活動がうまくできておらず、広告や自社オウンドメディア(以下、おかんの給湯室)も同様の状態になり、結果的に当月リード数が足りないときに、どうしよう、みたいな形であたふたすることがよくありました。

そこで、セールスとマーケティング一貫を包括的に見て、仕組み化、長期的にどういうことをやっていくかっていうのを決めたほうがいいよね、という話が出ていました。

一方で、食品というプロダクトを扱っていることもあり、原価やロジスティクスなどの変数が多い側面もあるので、マーケティング側でコントロールできる範囲で改善できることはないか、ということを今村とマーケティングチームが模索していました。

戸栗:確かにSaaSであれば指標はかなりシンプルで、人件費(開発費用)、マーケティング費用、営業費用、売上げなどThe Modelに関わる部署が必要とする費用、バックオフィスや開発に関わる人たちが必要とする費用などがほとんどと言ってもおかしくないですが。

御社の場合だと原材料費がインフレ、デフレで変動するなど経済状況などにもかなり多く影響を受けますね。

三浦さん:はい、おっしゃる通りです。しかも、今村がちょうど入社したタイミングでコロナが起きてしまったので。そもそも皆さん、オフィスで食事を摂るというのが一気に、特に都内ではなくなってしまったので。

そこから問い合わせ数も減りますし、いろいろマーケティング活動も困難になっていったっていう中で、グローバルブレインの伊藤さんと一緒に、コロナ禍前とコロナ禍後の問い合わせっていうものを比較して、営業先の優先順位をつけるための「ティア」という概念を作っていきました。

戸栗:コロナ禍で問い合わせ数がかなり減ったでしょうし、そこから売上を回復させないといけないという意味では、営業対象により明確な優先順位をつけるのは必要でしょうね。

御社のビジネスモデルであれば、製造業や地方企業が重要視されるのは、例えば大手町のようにレストランが星の数ほどない環境で、かつ従業員数が多く、健康問題を改善しなくてはいけない環境が多いから、こういった企業がお客様の像になりやすいですよね。

株式会社OKANの事例ページ

(OKANの事例のページ)

三浦さん:そうですね。ティア業種を考え、製造業だったり地方の業種っていうものが相性良いよね、というところがありました。そこに対して業種に分けた戦略だったりとか、ウェビナーであったりとかを新しくいろいろチャレンジしていきました。

その中で、今村がコロナ禍でどうするべきかっていう長期的なものをやったときに、おかんの給湯室で、新規獲得ができてはいるものの、もっと伸ばせるよねっていう話にいたりました。

戸栗:ちなみに、マーケティングを長期的に行うことになった際に、マーケティング効果測定の話になることも多いのではないかな、と思います。

例えば、セールスサイクルを短く「見せたい」場合のデジタル上での評価点は、ラストクリックを起点とする、など。このような場合は、私の経験則的に営業が組織内での力が強い場合が多いかな、と思うのですが御社ではいかがだったのでしょうか。

三浦さん:今村が入ったとき変わったのが、ファーストクリックがリードの基準だったのですが、広告の効果測定や可視化を優先させる背景もあり、ラストクリックに変わることになりました。

ファーストクリックだと、潜在見込み客と接点を作りやすいおかんの給湯室とかは強いんですよ。ですが、ラストクリックに基準の変わると、見かけ上はおかんの給湯室の貢献度合いが、ぐっと下がってしまうことになり、おかんの給湯室のポテンシャルがないのかっていうと解釈になり……。

でも、実際はそうでもないっていうところで、私がセールスと一緒に営業活動の中で使える、ウェビナーの文字起こしとかウェビナーのレポートをコンテンツを記事化していきました。これには、コロナ禍でおかんに直結するようなコンテンツだと検索ボリュームが減少してしまったので、そうせざるを得なかったという背景があります。

そのひとつが「健康経営」でしたが、健康経営の効果は見えづらいのでお客様としては投資しにくいよね、っていう声がセールスチームから上がっていました。

ですが、健康経営は、取り組めば取り組むほどインパクトがあるし、組織開発にもすごく有効的だという海外論文がたくさんあるのが実態です。それを私がひとつの記事にまとめ、健康経営の効果をどのように伝えるかを、検索ボリュームに影響を受けないかたちでどのように届けるかを模索しながらコンテンツ化していました。

ただ、長期的に考えたときに、検索に依存しないで成果を安定的に上げるのは現実厳しく、おかんの給湯室をもっと伸ばせるよねっていうところで、戸栗さんが入る前に、メールマガジンの会員登録などを行い始めていました。

株式会社OKANのオウンドメディア”おかんの給湯室”の遠目ブログ

(”遠め”のブログ記事)

戸栗:よくあるメルマガ登録、というのは目的が曖昧でとりあえずおいている、みたいな側面が強いと感じます。ここまでの取り組みを伺う限りですと、御社にもそこまで明確な目的がなかったのかな、と感じますがいかがでしょうか。

三浦さん:それまでのメールマガジンは、既存のユーザー、オフィスおかんの資料をダウンロードしてくれたユーザーに対してだけ送っていました。

おっしゃる通りで、明確な目的や次のアクションみたいなものは明確に決まっているわけではない状態でした。

このタイミングからは、そうではなく、オフィスおかんとのタッチの前の潜在的見込み客との接点作りとして活用していこうという形になりました。

戸栗:いわゆる、TOFU(Top Of The Funnel)を広げていく施策ですね。メルマガ登録をしてもらった後のことを考えていない企業さんも多く、ファネルの段階を広げる努力をしているのだけど、段階ごとのつながりが弱かったり、打ち手を作っていないことがほとんどなイメージを持ってます。

おそらく御社も似ている状況で、いわゆるマーケティングオートメーション(MA)でナーチャリングなども仕組みとして持っていなかったのかなぁ、と感じます。

三浦さん:はい。メルマガ登録と同時に、FacebookでeBookをダウンロードさせるとかはあったのですが、新規を「刈り取る」目的になっていました。

メルマガからファネルの入り口を作った後、その後どのようにMQLを創出するんだっけ? どのようにしておかんの給湯室をもっと伸ばせる方法はないか? っていうところで、グローバルブレインさんから戸栗さんをご紹介いただいたっていう流れになっていたと記憶しています。

戸栗:ありがとうございます。当時弊社が支援させて頂く前に、御社マーケティングチームがされていたことは、かなり広告ヘビーな状況だったのかな、と記憶しています。

広告ヘビーという聞こえはあまり良くないと思うのですが、自分の記憶を辿ってもここまで広告をやりきっている企業は珍しいな、と思うくらいの良い意味での驚きでした。

一方で、MQLを刈り取ることに特化しており、短期的な施策で全体像なく気付いたことをする、みたいな様子も感じていました。そこに関して、今村さんが大きく良い方向転換をしようとしているタイミングだったな、見させて頂いておりました。

多くの企業が行っているマーケティング施策は、行き当たりばったり感は強いかなと思っていて、その原因には、マーケティング責任者のさらに上の人たちを説得するのがうまくいかない、とか、会社としてマーケティングへの理解があまり強くない、などの理由があると思っています。

御社はそこを今村さんが雰囲気を変える取り組みをしていたのだろうな、思います。

そこで言うと、どういった工夫をして、社内の方向性というか、向きを変えていったのかっていうところを伺いたいのですが、三浦さんの知ってる限りだと、弊社が入る直前にどのような努力されていましたか。その方向性を変えるアクションを社内でされていたこそ、弊社がご支援をさせて頂くことにもなったこともあり。

三浦さん:コロナ禍前は、効果の測り方がファーストクリックだったっていうこともあって、おかんの給湯室は広告と負けないぐらいのコンバージョンを取れていたっていうのが説得材料としてあったのではと思っています。

コロナ禍で、そもそも検索とかも下がってしまっている中で、当然検索連動型広告の成果も下がる、今村としては、ここをおかんの給湯室側に戻していきたいみたいな部分からの説得だったかなと感じています。

現場の私からしても、ファーストクリックだとオウンドメディアは有利になると思いますし、ラストクリックになると明らかに不利になるじゃないですか。過去実績があったのに、評価のポイントがラストクリックに変わった時点で、オウンドメディアの評価って下がると思うんです。

会社の中で、広告の評価が上がり、オウンドメディアの評価が下がっているような見られ方をしながらも、オウンドメディアの強みを評価できない指標設定で進めるのは不思議だなという感じがしていて。

これ、測る指標はラストクリックになったにもかかわらず、おかんの給湯室やらないといけないよ。でも、その評価方法だと、おかんの給湯室の評価方法が、測りようがないよねっていう感じにはなると思うんですけども。

この矛盾に見える部分っていうのは、どうやって上の人たちを納得させたのかなっていうのがあるんですけども、これはどういう説得の仕方をしたかは明確にわかっていません。

恐らくですが、おかんの給湯室って実験的な立ち位置のなか、競合企業が我々の指名検索に対してバンバン広告を出稿をし、彼らと接点を持たないうちの施策はなんだ、と言ったときに、おかんの給湯室が再浮上した、と言う感じもします。

つまり、外的要因も、説得する材料として大きかったのではないかな、と思います。

戸栗:確かに御社の競合企業は、御社の指名検索やブランドキーワードに対して、えげつないくらいの広告を被せてきていますよね。明らかに御社の見込み客や顧客を奪い取るくらいのことをしてきているな、と感じます。いうまでもなく、私はこういう施策は大嫌いです。

三浦さん:(笑)。あと、競合企業のサービスに関するコンテンツや、まとめ記事とかで、指名検索や指名検索に近いブランドキーワードなどもかすめ取られる事態が起きていました。その対策として、戸栗さんが入られる前に、オフィスおかんに関する記事を、ばーっと作っていた時期があるんですね。

株式会社OKANを狙った競合の検索連動型広告

(競合企業のおかんを直接狙っている広告)

戸栗:サービスに直結したものですね。指名検索やブランドキーワードに近いコンテンツを強化していたということですね。  

三浦さん:そうです。オフィスおかんに関する、メニューや口コミみたいな部分で記事を作っていきました。なので、指名検索から広告用ランディングページへきてサービスサイトからもこぼれ落ちるユーザーが「オフィスおかん」と検索すると、広告、サービスサイト、「おかんの給湯室」などの複数のコンテンツで獲得できていました。

なので、こぼれ落ちるユーザーも全部、最終的におかんの給湯室の方に来ているっていう流れをつくれていて。検索で、サービスサイトや広告が拾い切れないユーザーを、おかんの給湯室はちゃんと獲得できてるんだよねっていう、まず証明としてっていうのが取れました。

その活用にもっとドライブかけるためには、人材もそうですし、予算もそうですしっていう部分の説得の仕方がひとつあったのかなと思ってます。

戸栗:一方で、おかんの給湯室含め、御社のドメインへのトラフィックやMQL数が減少して行っていたのは、御社のサービスに近しいようなクエリの流入が一気に減ったんだろうなっていうイメージを持っています。

なので、ドメインの本来の目的である、指名検索やブランドキーワードに近い領域が弱くなっているけども、おかんの給湯室の効果は確実にある。

それをもっと中長期的に広げてくためには、御社とは直結しないような、より前のフェーズの人たち(潜在見込み客)の流入ボリュームを増やせばいいよね、みたいな話の流れに、御社内で合意が取れたということですよね。

そのタイミングで、グローバルブレインさん経由で弊社が入ってきたみたいな感じの流れということですね。

三浦さん:そうですね。あと、もうひとつ、戸栗さんが入られる前って、おかんの給湯室自体の存在意義も模索していて。ファーストクリックじゃなくなるからどうしようっていう部分もありますし。

ですので、新しい立ち位置を築こうっていう戦略を立てたんですね。新戦略は特定の新しいトピックで、これならおかんの給湯室を見ればいいよね、というポジションを作る、というものにしました。

そのため、戸栗さんが入られる前は、私たちは「働く人のライフスタイルを豊かにする」っていうミッションを掲げているので、その中でそういう人たちをなくすには、働く人のメンタルヘルスの情報をもっと増やすべきじゃないかっていう視点から、メンタルヘルス領域を攻めようっていうところに決めました。

また、そういう視点のToBメディアは、当時すごく少なかったっていうところでやっていきました。

ただ、新しいユーザー数は開拓できたんですけども、逆に遠過ぎてしまったりとか。コロナ禍が起こって、リモートでメンタルヘルスの問題が出てきたりとかして、その後には有効になってくるキーワードで、他競合がいなかったのですが……。順番を間違えたかなっていうふうになりました。

戸栗:ちょっと遠過ぎちゃった、みたいな。

三浦さん:遠過ぎちゃったっていう部分がありますし。ニーズ的にコロナ前は、メンタルヘルス部分はすごく着目されて。今でこそcotreeさんとか、そういうサービスもできてきて注目されていますけど、当時は自分で検索するっていう部分まではいかなかったのかなと思ってます。

戸栗:少し話が戻るのですけど、競合企業が御社の社名だったりとか、サービス名とかで広告を出してきますっていったときに、御社としてはやらないといけないのは、彼らよりももっと早いタイミングで潜在的な見込み客と接点を取らないといけない、ということですよね。

もっと前のせり出した、例えば、関連性のある遠いコンテンツを作っていけばいいっていう結論になり。それが、メンタルヘルスっていうところにまず狙いを定めてやってみたけど、結果として、ちょっと遠かったみたいな感じの流れになっていったっていうところからスタートっていう感じですよね。

三浦さん:そうですね。

戸栗:ありがとうございます。少しばかり、弊社のサービスが始まる前の話が長くなりましたが、ここから実際に弊社がご支援をさせていただき始めたところのお話をさせていただければと思います。

続き「フェーズ1」の記事はこちらから。

プロフィール
株式会社OKAN

株式会社OKANは、「働く人のライフスタイルを豊かにする」をミッション・ステートメントに、リテンションマネジメントカンパニーとして、人材不足が深刻である日本における企業課題と社会課題の解決に取り組み、「働きつづけられる」社会を実現することを目指しています。

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