戸栗:では、質の高いコンテンツを作れる体制を作り、いざこれからトラフィックを上げていきます、という流れになりました。が、想定外のことが起きます。
元々公開していたコンテンツ(外注丸投げ記事)がすごく足を引っ張ってしまいました。お客様目線じゃないコンテンツを作るのが、いかに危険かみたいなことを痛いほど味合うことになりました。
私としても数字が全く上がらないというのは初体験で、どうしてここまで頑張っているのに、全然数字が上がらないんだよ、みたいな感じでしたね。
松木:そうなんですよね。2021年の7月に、トラフィックがガンっと落ちて。
戸栗:そうですよね。
松木:その後9月ぐらいまではずっとトラフィックが下がっていて...…。その後次の年の2月ぐらいまでは、トラフィックがずっと停滞してるんですよね。結果的に獲得リード数も停滞しました。戸栗さんと動き始めてから1年後ぐらいから、やっと上昇する形になりました。
戸栗:そうですね。この事例を見ている人たちにもリアルなところをお伝えしたいので、この部分を詳しくお話したいな、と思います。
ブログなどのコンテンツを質の高い状態で出し始めると、3ヶ月くらいで数字に変化が出てくるイメージを持っています。ただ、この大体3カ月が経過する前から、数字が減ってしまうっていう逆の事態が発生してしまいました。
この数字が発生したところに関していうと、正直、最初の1、2カ月、私もなぜ減ってるのかかが分からないっていう状況でした。
その理由は後でお話ししますが、この状況に置かれて担当者の松木さんとして、数字の減少を見たときに、どういうふうに感じたかと、あとは、上司である中村さんに、どういう説明を求められたとか、どういう状態だったとかっていうのを、ちょっと教えていただけますか。
(ブログ管理シート)
松木:記事をアップし始めたのが、7月13日になりますが、そこから「3カ月ぐらいたって」っていうお話でしたので、10月ぐらいになれば上がるかな、と思っていました。
ですが、アップを始めて数週間後から数字が下がり始めて、10月、11月、12月と迎えても、あまり伸びないなみたいになっていて...…。うちはその遅いタイプなのかなっていうふうには思ってました。
やってること自体に自信は持っていましたし、この施策自体に疑いとかは特になかったんですけど、上長や社長への説明は少し困りましたね。時間とお金かけてるのに、全然上がらないねみたいなところはあって。
やってる本人である私は、自信がないわけじゃなくて、むしろ自信を持ってやっていました。ただ、直接作業に関わっていない人たちからは、「大丈夫なの?」みたいな感じの声かけはありました。
戸栗:そうですよね。1日中記事に張り付いて、オウンドメディアやってるにもかかわらず、何も変わってないんですけどみたいな話になれば...…。
松木:そうなんですよね。その話の延長で、オウンドメディアじゃなくて、他施策やったほうがいいんじゃないかみたいな話とかっていうのは、社長含めて上がっていました。
自分たちがきちんとTOFUを構築するところ、この施策を始めると決めた理由に立ち返ってほしいなっていうので「なんのためにこの施策を始めたのか」っていうところをお話ししつつ、説得しつつ続けていったというような形だったなと思います。
戸栗:オウンドメディアをやっていて、効果がちょっと出づらいなとか時間がかかるっていうのはすごくあると思います。
松木さんと中村さんはそこを、さらに上長の社長さんに説明して、社長さんが納得してくれたってことだと思うんですけども。この説得するポイントとか、どういうふうに説明したかとかあれば、ちょっとそれもお話伺えますでしょうか。
松木:社長の社長像というか、どういう判断の軸を社長が持っているかに依存するとは思いますが……。
弊社の社長は数字のためにどういう行動をしてるかみたいなところをかなり重視する社長だったので、こういうアクションを今取ってます。下がっているけれども、こういうところで上げていこうと思ってます、という計画含めて今何をしてるかっていうところを伝えていくところが大事だったと思います。
結果が出てないときに伝えるものって、本当に過程しかないので、どういう過程なのかっていうのをきちんと伝えた上で、数字が上がってきたタイミングで、あの時の作業がこの結果につながっています、と自信を持って言えるようにしておくことが大事かなと思います。
戸栗:その説明される側の気にしてるポイントを、ロジカルに理路整然と説明してあげるっていうところですよね。
松木:そうですね。まず数字が出てないということになると、一番最初に、説明受ける側が考えることって、「そもそもちゃんとやってる?」っていうところだと思います。まず、やってますよっていうところから、徐々にその説明を受ける側の知りたい情報を提示していくみたいなイメージを意識しました。
戸栗:結果につながらなくて苦戦しているマーケティング担当の方が「数字はどうなっているの?」と言われたときとかに、あまりロジカルに説明できない方が多いかなと思います。
その理由に相手側(上長)が自身のステークホルダー(営業部長やレポートラインの相手)と何を話ししているかが想像つかない、自分が関わっている施策に対して明確な仮説と評価軸がない状態、そのような要素が明確な説明できない原因かな、と思います。
松木さんが中村さんや御社社長に数字の事情の説明をするにあたり、伴走支援の中で吸収したことを、自分の知識やロジックとして活用していた感じだったのでしょうか。
松木:そうですね。そこは間違いなくありますね。具体的に、これをこう伝えましたっていうのは思い出せないのですが。話している言葉の節々に戸栗さんとの伴走支援で学んだことは間違いなく入っていたと思います。
戸栗:それであればよかったです(笑)。1時間などの短時間コンサルだと、コンサルから一方的に説明を受ける状態になりがちで、恐らくなんですけども担当者方には腑に落ちないことが多いのではないかな、と感じます。
御社との伴走支援は当初週に4時間という長時間でしたので、同じ目線での会話ができる状態まで知識や経験レベルを持っていきやすいのではないかな、と思っています。長時間やるので、もちろん大変ですが(笑)。
(前外部支援企業のコンテンツに関する資料)
松木:前の方でお伝えした、オウンドメディアの外注をお願いしていた会社さんとかも、週1回のミーティングで話して、そこで確認し、あとは事務作業的な確認が主になってしまっていました。
ですが、戸栗さんとのやりとりは、事務作業のやりとりももちろんありつつも、その意味とか目的の部分の話とかもそうですし、自分が疑問に思ったタイミングで答えていただけるっていうのがすごく大きくて。
しかも打ち合わせだと基本1時間ですが、戸栗さんとの伴走支援は4時間と半日確保してがっつりやっていただいていたので、その時間内であればどこで思い付いても答えていただけてたっていうのは、すごく大きかったなというふうに思います。
戸栗:ありがとうございます。数字が下がらないことが理想だったのですけどね(笑)。この原因を見つけるためにかなりの時間をかけて、私がいろんな角度からトラフィックを見ていくみたいな感じになりました。
結果的に分かったのが、実は我々が作っていた記事はトラフィックを積み立て式に生んでいるということでした。逆に今まであった外注企業さんが作ってる記事がトラフィックの爆減を発生させていたというところでした。
これが実は、くしくもこのタイミング、6月か7月にGoogleのアルゴリズムの改定があり「このコンテンツ薄いよな、ジェネリックだよな」という印象を持っていた他サイトも、かなりド派手にトラフィックが、下がっていました。
そのアルゴリズムの改定が是正を狙っていたのが、役に立たない焼き増しコンテンツの評価を下げるというものでした。そのため、我々が持っていた外注コンテンツのトラフィック激減があまりにも激し過ぎて、総トラフィックがすごい勢いで減ってくみたいな状態でした。
これが見つかって良かったなっていうところがあったんですけども、こういうのを体感をすることによって、良くないコンテンツと良いコンテンツの存在を定量的な視点から痛い目に合うことになってしまいました。実際に体感してみていかがでしたか。
(2021年6-7月にかけて減少したオーガニックトラフィック(緑))
松木:自分たちが作っていったコンテンツと過去のコンテンツっていうのを見比べてみると、文字数も全然違いますし、中身のクオリティ、そもそもその情報ってどこから取ってきたのみたいなソースの記述がなかったりとか、質の部分に、大きく違いがあったなとは思います。
そこが、それを体感して、それで経験できたっていうのは、自分としては大きかったなとは思います。
オウンドメディアを作っていく作業って、最初のうちはすごく力を入れて、いい記事作ろうっていう思いでやるんですけど、途中から、多分、作業的にもボリューム的にも結構大変な作業ではあるので、どこかで手を抜きたくなる瞬間っていうのが来るんじゃないかなっていうのは、自分では思っていました。
こういう大きな事件というか、すごく下がってしまうっていうのがあると、そこで手抜けないなっていうのになったので、自分としてはすごくいい経験だったなと思います。
(弊社支援後に作り始めたブログ記事の一例)
戸栗:ありがとうございます。このトラフィック激減の期間が、さっきあったとおり、6カ月ぐらい続いたのかな。減っているというか、上向きになるまで6カ月ぐらいかかっちゃいました。これってすごい損失というか、すごいコストだなって思います。
一般的な企業であれば、6カ月やっても数字が減るんだったら、間違いなくやめちゃうと思いますし、本当上がるはずなのに、そこでやめてしまう。そうすると、オウンドメディアっていうチャネルがなくなってしまう。
6カ月っていう期間を考えれば、松木さんが、例えば、お給料が月50万円で、これだけコンテンツ制作にマーケティング予算を投入、弊社へのフィー、6カ月という時間、この総コストはすさまじいと思うんですよね。
こういったことから、弊社として強く感じるところは、コンテンツを制作したり、マーケティングのやるべきところは、きちんと内製体制を作ることだと思うんですよね。
きちんと3Cを考え、バリュープロポジションを考え、きちんとコンテンツを作っていくっていうこと。今回のように数字が爆減したのは、いい体験とは言えないですけど、その重要性を本当に表してる、すごい象徴的な例だったのかなっていうふうには思いますね。
松木:そうですね。数字の低下は体験しないに越したことはないんですけど、起きたことをポジティブに捉えると、さっき自分が言ったような、こういう質の悪い記事を作ると、こういう目に遭うんだよっていうのが分かったっていうのは、すごく大きかったなと思います。
先程、社長の説得の話あったと思うんですけど、そこも、アルゴリズムの改定で下がってますみたいな話とか、過去記事が悪さをしてますみたいな話も、戸栗さんが調べていただいたものを、社長にもお伝えしていて。そこを正しく理解していただけたっていうのが、継続につながったかなとは思います。
戸栗:ありがとうございます。では実際に数字が立ち直り始めたところへの箇所に進みたいと思います。
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