カスタマージャーニーに沿った現施策を改善するために、ウェブサイトのSEO改善、メールマーケティングの改善施策も同時に進行させ足元を固めていくこととなる。
結果、メール開封率は30-40%ほどにまで上がり、数値としては約3倍向上。足元も固めつつ、質の高いコンテンツを量産できる体制が完成した。
戸栗:次のフェーズですね。ここからは、作ったペルソナ、カスタマージャーニー、データ定義に合わせてコンテンツを作り始めるタイミングになります。
いかんせんウェブサイトにトラフィックが発生していなかったので、意味のあるコンテンツの量産が必要でした。
御社のペルソナだったりとかカスタマージャーニーを考えたときに、デジタル上のオウンドメディア、いわゆるブログによって、トラフィックを増やすことができて、効果的なリードを獲得できるんじゃないのかなっていう前提があってスタートをします。
ただ、このタイミングで、前述した通り御社にはコンテンツが存在していました。しかし、丸投げ状態だったため、何が効いてるのかがよく分からないみたいな状況でしたね。
このタイミングで、業者さんではなくて内製する体制をスタートすることになりますが、その体制に変更しようと思ったきっかけや、実際にどのように進めていったかを教えていただけますか。
松木:戸栗さんと一緒に進めていくにあたって、キーワードの選定っていうのが、かなり鍵になっていたかなとは思っています。どういうキーワードがお客様にとって刺さるかっていうところは、顧客理解から導き出すのが正であり、検索エンジンに合わせてキーワードを選ぶのではない、と伺っていました。
そのキーワードから構成案を作っていくっていうのが、このフェーズにおけるメインタスクでした。私たちが想定するキーワードに対して構成案を作成して、その構成案に基づいてクオリティ高く記事化できるライターさん探しが必要、となりました。
これは外注で全部お願いするっていうよりも、自分たちが望むクオリティで継続して執筆できるライターさんを自前で用意していくことになりました。
並行して、ナーチャリングの仕組みを整えていきたたいという希望もあったのですが、並行できるほど器用ではありませんでしたので、まずはウェブサイトにトラフィックを集めるところに注力していきました。
戸栗:ありがとうございます。
よくある記事コンテンツの作り方に、外注先の企業さんに、ぽんっと丸投げして、外注の企業さんがキーワードこういうのがいいんじゃないですかっという提案が出てきます。
それに合わせて外注先企業の中にいるプロジェクトマネージャーが、クライアント側の人たちの窓口になって、記事はこういうのを作ります、構成案はこうです、ぶら下がってるライターさんに投げていって、記事を上げてきて、クライアントさんのほうに、どうですかっていうふうに上げてくみたいなのが、いわゆる一般的な流れになるんですけども。
(弊社のコンテンツ制作の流れイメージ)
そういう意味で見ると、今回、御社のご支援では、ライターさんをゼロから探すことになりました。弊社はライター探しをする際、クラウドソーシングから探す、というスタイルをとっており御社でもそうでしたと。
実際に利用したサービスは、ランサーズとクラウドワークス、この二つの有名なサービスを利用してライターさんを探させてもらいました。
ほとんどの企業がライターを抱えるのですが、あまり良くないなぁ、と思っていて。その理由にクライアントのお客様(ペルソナ)は職種も課題も千差万別なのに、なんでライターさんはほとんど固定なの? という私の単純な疑問があります。
実際に松木さんとライターさん探しをする上で、松木さんが実際に気を付けた点、ポイントとして置いた点を教えてもらえますでしょうか。
松木:自分が工夫してたってところもありますし、戸栗さんからアドバイスをもらい、意識したポイントが2つあります。
まずは、アフィリエイト記事のよう短く内容の濃くない記事を乱発しているような方に依頼するのは避けていたというところが一つ。
あとは、自分たちの書いてほしいような記事と同じようなジャンルの記事を書いたことがあるかどうかっていうところに気を配っていました。
ほかには、ロジカルな文章、例えば大学院で論文を書いたことがある、そういった経験を持っている方に優先的にお願いしたっていうのがあります。あとは、営業経験とかマーケティング経験がある方、そのような感じですかね。
自分たちの想定読者であるペルソナが、小売りのお客様ですので、小売りの経験がある人っていうの見ているポイントでした。
戸栗:小売りの経験や、マーケティングや営業経験のある方を選んだ理由には、記事コンテンツが読み手にちゃんと刺さるものって、お客様の自分事になるような内容じゃないと、お客様って態度変容を起こさない、そういう視点でしたね。
態度変容が起こるのか、という視点からみると、読み手の業務内容を手に取るように分かるっていうことが本当に重要な要素になります。
記事の一つ一つの言葉に業務に関連することが入ってることよって、読み手としては、これ自分たちのことについて触れているなぁ、と、すっとコンテンツが入っていきます。
あとは、論文などを書いてるような人たちを探す理由は、BtoCと違ってBtoBって、この衝動的な判断というのかな、情緒的な判断だけで購買を決定することはなかなか難しく。理にかなった判断をしていないと、物事を説明することがDMU(Decision Making Unit)に対してできない。
それゆえ、態度変容を起こす文章には、ある程度のロジカルさがポイントになります。そういったロジカルな文章を書ける人には、どういう共通項目があるのかなっていうと、大学院で論文を書いている人がその項目を持ち合わせていることが多く、そういった背景で選んでいったみたいな感じでしたね。
松木:そうですね。
戸栗:あと、よくあるのがライターさんを選定したあと、キーワードを渡して丸っと投げてしまうっていうパターンが多いです。
前述の通り、今回は松木さんが全くの未経験だった構成案を作っていく、そこも手を動かして頂きました。そこで気を付けた点を教えていただければな、と思っています。
私の経験上、今のウェブコンテンツって、以前ほどのゴリゴリのSEO知識は必要ないと私は思っていて、ちゃんとした文章で、刺さるコンテンツであれば、SEOはプラスアルファみたいな感じだと思っています。
多くの人たちがSEOの知識がないと駄目だって、本当に思ってるんですけども、そこに関してもいかがでしたか。
松木:自分はそんなにSEOの知識があるというわけではなくて、むしろなかった側の人間だと思っています。構成案を作り、後に数字が上がっていくわけですが、そこを振り返って考えても、この作業をするにあたって必要なのは、SEOの知識よりも、顧客理解だと思います。
構成案を作るときにSEO的に意識したことは、自分たちが記事化しようとしているキーワードを検索してみて、検索結果の1、2、3位の記事がどういう内容のコンテンツを公開しているか、何文字位で書いているのかという調査をして、それらの記事よりも内容が濃いコンテンツでかつ文字数も下回らないっていうのを意識したくらいでした。
あとは、先ほども戸栗さんのほうからありましたけど、自社コンテンツの内容が、1、2、3位の焼き増しにならないように、自社ならではの、自社だからこそ話せる内容っていうのを必ず盛り込むことは、強く意識してやっていました。
その上で、自社のユーザーがどういう情報を知りたいのかっていうのを網羅できるっていう条件で、構成案作っていたかなとは思います。
(コンテンツトピックシートの例)
(ブログ記事の構成案作成シートの例)
戸栗:そうですよね。松木さんと私がやりとりしてるときに、SEOっていう単語をほとんど発していないですよね。このコンテンツは読み手にとって必要ですか、御社にとって必要ですか、そういう視点でしか話をしていなかったと思います。
松木:そうですね。
戸栗:検索エンジン側の言い分は、ユーザーの求めてるコンテンツをきちんと作りなさい、という話なので、それにのっとってやったっていうそういう感じでしたかね。
体制の話になりますが、御社はオウンドメディアを作る体制を内製化させて1から立ち上げる状態でした。
ライターさんを見つけ、構成案を松木さんが作る。軌道に乗り始めて、松木さんは週何本ぐらいの構成案を作成し、何人ぐらいのライターさんを抱えるようになって、結果的に、週に何本ぐらいの記事を出せるようになりましたでしょうか。
松木:最初は構成案のストックを作りためるために、週に8本とか10本とか作ってたと思います。公開を始めたら公開を途切れさせることは絶対に避けたい、ということを念頭において途切れないように作りためていた、という背景でした。
戸栗:週に7、8本だと、なかなかの数ですよね。
松木:そうですね。構成案を作ることの大切さは上長も理解してくれていたので、時間を確保して、結構な数を作っていたかなと思いますね。
最初のうちは、作るまでの時間もかかりますし、作ったもののクオリティもそんなに良くないので、戸栗さんに見ていただいて、これでいいでしょうかみたいな確認の時間も必要でした。
その確認をしていただいてる間に、別の構成案を作ってみたいなものを、週4時間の伴走支援内、それ以外の時間を合わせて作っていたかなと思います。
戸栗:たまにあるのですが他企業さんによっては、5-10分で作ってきたんだぁ、という構成案を私に見せてくる方たちもいらっしゃるんですね。そういう視点で、松木さんの構成案はすごくきちんと作ってきていたな、という印象でした。当初構成案を1本作るときに、どれくらいの時間かけてましたか。
松木:最初はめっちゃ時間使ってましたよ(苦笑)。1つにつき2時間は使ってないと思いますけど、1時間ちょっとは費やしていたと思いますね。
戸栗:素晴らしいです。それが正解だと思います(笑)。
松木:考えてると結構キリがない、キリがないといったらあれなんですけど。ゴール、これでいいだろうっていうところに持ってくまで、自分の性格とかもあると思うんですけど、なるべく100パーに近づけて、自分の中で納得できる形にしてから出したいと思うと、それぐらい時間使ってましたね。
戸栗:最後の最後まで考え抜いているな、と感じたところに、「定量的なデータを入れてください」とか、「こういう調査の根拠だったりとかエビデンスを入れたほうがいいんじゃないですか」というところに手抜きがなかった。
きちんとよく調べてくださってたので、構成案がこちら側に来た時点で、ほとんど確か手直しをする必要性がなかったんじゃないかなって覚えてます。手直しをする点でいうと、最終的なSEOの基本視点で、この要素はあったほうがいいかも、こういう検索ニーズがあるかもしれない、みたいな微調整しかしてなかったかなっていう印象です。
それぐらい、本当に真面目に作ってくださってたなっていうのは、すごく覚えてます。
松木:ありがとうございます。
戸栗:その品質の構成案を週に8本ぐらい最初作って、傍らライターさんをクラウドワークスやランサーズでスカウトしてテストしてっていうことを繰り返しましたね。
この探す工程も手を抜く企業さんがほとんど。ご本人たちからすると手を抜いている訳ではないと思うのですが、あまりにも甘い。それでいて、クラウドソーシング側に問題がある、ということを言う人も多い始末。
私は全然そんなことはないと思っていて、探す側に問題があると思っています。松木さんは、リアルなところなんですけども、ライターさんを何人ぐらいテストされて、何人ぐらい継続契約にされましたか。
松木:それでいうとおそらく20人弱、指定でも15~16人がテストライティングをお願いしていて、その中で今も契約継続でライティングしてくださっているのが残っているのが4〜5名です。3-4倍ぐらいの人数はテストさせていただいた感じでした。
戸栗:3-4分の1。そうですよね。ここもすごくポイントかなと思います。前述のようにクラウドソーシングに対して不平不満を言う方たちは、実際、探す努力が足りてないだけだと思います。
実際に松木さんが選ばれた方たちは、テストライティングをクリアされて、継続的にコンテンツを改善し、きちんと仕事していて、すごくクオリティの高いコンテンツを作り続けてくださっている。
ライターさん探しだけではないと思うのですが、まずは質を求める前に、量をトライする必要があるよね、と感じます。
松木:そうですね。量をやらなくても質を高めるところが大事なんだよ、みたい視点で言われることがありますけど、このライターさん探しに関しては、本当に量だと思います。
戸栗:ありがとうございます。今、結果的に、5人のライターさんが月に今7-8本ぐらい記事を仕上げてきてくださっている、そういう感じでしょうか。
松木:そうですね。大体平均して、1ライター当たり2本ずつ上げていただいてるような形になるので、8本から10本程度は毎月仕上げて頂いている形です。
戸栗:ありがとうございます。ライターさんがオンボーディングし、記事コンテンツが上がるようになってきましたと。
一方で、今までのブログ記事をどうするのか、ダウンロードコンテンツ、ナーチャリングのためのEメールマーケティングをどうするのか、ウェブサイトも直さないといけないところがあったと思います。
弊社の支援内容の特徴として、どこかの1カ所に特化しているわけではなく、全体的に問題があるところを見つけてって直していくみたいなのが強みがあります。
一般的なコンサル企業だと、コンサルの方自身がインハウスのマーケティングの経験がないことがほとんどで、強みを持っている箇所が1カ所。例えばSEOのみ、広告のみ。といった具合が多いです。
私の場合だとコンサルしながらも、実はインハウスの経験のほうも相当あるので、どの視点や施策でも大体いけるみたいなところがあります。
そういった意味でいうと、御社のメタの情報、SEO的なとこですね。メタの情報を直させて頂いたり、ランディングページの見せ方、サンキューページの見せ方だったりとか、Eメール、CRM内のデータの整頓や見せ方みたいなところも直させていただきました。
その中の一例として、Eメールに触れさせて頂きたいと思います。以前は一つのメールの中にセミナーの情報、ブログ情報など、いろいろなものが入り混じっている感じでした。
私が入らせていただいて、どういうふうにEメールとか、Eメールマーケティングの部分を変えていったかっていうのを、ちょっと説明していただけますでしょうか。
松木:お話いただいた通り、最初のメールでは、恐らくユーザーに伝えたいっていう気持ちが先行していて、いろんなお役立ち情報もあります、こういうのもありますっていうのを、かなり盛りだくさんに送っていたかなと思います。
戸栗さんにご指摘いただいてからは、なるべく1メールにつき1コンテンツに変えました。
そのほうが、お客様にとっても、なんのためにメールを送ってきてるのかっていうのが、すごく明確に分かりますし、たくさんコンテンツが載ってるよりも、一つだけのほうが計測の観点でも取りやすいっていうのもあったりしたので。お互いにとって、すごくいい状態になったかなとは思います。
戸栗:今、多分すぐには思い出せないと思うんですけども、数字としては上がったみたいな感じですかね。開封率だったりとか。
松木:そこと並行して、いろいろ動かしてしまったので、その効果だけかどうかちょっと分かりかねるんですけども。
送るターゲットをもっと絞りましょうっていうところも、戸栗さんからの指摘で、僕が絞ったりとかっていうのをしてたので、結果的に、開封率は上がってましたね。大体、最初、多分10%とか15%ぐらいだったと思うんですけど、30%から40%ぐらいまでは上がったかなと思います。
戸栗:めっちゃ上がってますね。
松木:そうなんですよね。絞ったっていうのも、結構大きかったとは思うんですけど。
戸栗:そうですね。恐らく、データの整理みたいなことも、同時進行で確かやっていたはずだったので、データの定義に基づいて、ハウスリストに対して、ハウスリストがどういうライフサイクルステージなのかとか。あとは、このデータ保持の状態だと浅い状態だよねとか、こちらはもう少しエンゲージメントしてるから、少し深いよねとか。
データの再定義をすることによって、既存のハウスリストも定義を移動させて頂き、メールを送ることにしましたね。結果的に、送信リストも縮小され、コンテンツも絞り込むことができた、それゆえ数字が跳ね上がったという感じでしたね。
松木:そうですね。
戸栗:ありがとうございます。そのような感じで、コンテンツを作りトラフィックを上げる準備の傍ら、ウェブサイト、Eメール、Eブックなども直していきました。このあと、順調に数字が上がるフェーズに入る...と思いきや、予期せぬことが起きましたね。では、そちらの話を続けていきましょう。
松木:(苦笑)
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