お客様事例 | 株式会社LEAPT(レプト)

ピーシーフェーズ株式会社 支援事例フェーズ1: マーケティング戦略の再立ち上げ準備期間

記事概要:伴走支援が始まり、マーケティング施策の再策定やどのような打ち手を取るべきかを考えた。まず最初に行うべきは、広告などで問い合わせ数を強引に増やすのではなく、安定的にリード獲得ができる体制を作ることだ。そのために中長期的に資産となるコンテンツ制作を本格的に行い、すでに導入されていたHubSpotの活用をどう絡め合わせるか、そのためにペルソナやカスタマージャーニーに加えて、マーケティングデータの再定義などを行うことになる。
ペルソナ作成数
3 つ
カスタマージャーニー作成数
3

戸栗:では、ここからは中村さんではなく実際に弊社の伴走支援を受けていらっしゃった松木さんにインタビューさせていただきます。では、松木さんの自己紹介を簡単にお願いいたします。

松木:ピーシーフェーズのshouin事業本部でマーケティングを担当している松木と申します。ピーシーフェーズには新卒で入社して、今は6年目になります。最初の1年目は、受託案件のディレクターとして働いて、2年目からは、現職であるクラウド型eラーニングサービスの、shouin+の立ち上げから開発ディレクターとして関わっています。昨年の2月ごろに、マーケティング部を新しく、ちゃんと部として立ち上げていく動きがあり、その中でリーダーとして入りました。現在はずっと続けている開発案件のディレクターは継続しながら、マーケティングの実務とインサイドセールスのマネジメントを並行して働いています。

(マーケティングリーダーの松木さん(左)と事業責任者の中村さん(右))

戸栗:最初に、この2021年の2月にマーケティングチームのほうに異動してきたときに、どういった経緯があってプロダクト部のほうからこちらのほうに異動してきたのか、どういうことを求められて異動してきたのか、について簡単に教えていただけますか。

松木:もともと私がいたプロダクト部というのは、shouin+の開発を進める部署で、機能の企画や進行管理など、そういったことをしていました。私と当時の上司ともう1名のプロダクトマネージャーは3名、そこにデザイナーを加えた4名体制で、プロダクト開発を回していました。

当時、私がプロダクトと兼任で、公式サイトの運営など、多少なりともマーケティングに関わっていたので、それであればリーダーとしてマーケティングをやってくれないかっていうところで、中村から依頼を受けて、異動してきたっていう形です。

戸栗:そのときのピーシーフェーズのshouin事業部の課題感として、まずマーケティング専任の方がいらっしゃらなかった点が一つあるのと、プロダクトは立ち上がったものの、マーケティングっぽい活動を、部分的に業者の方たちにお願いしてしていたみたいな感でした。

そのため、私の認識では本当に真っさらな状態だったと認識しています。もしも、それまでマーケティングとして何かしてきたことがあれば、少し教えていただけますか。

松木:マーケティング的な活動としてやっていたのは、サービスの公式サイトの構築からリードの獲得っていうところです。あとは、単発で展示会に出展したり、ソーシャル広告を外部に委託して行ったりしていました。

ただ、コロナ禍になったっていうところもあって、オフラインの展示会ができなくなったっていうところはリード獲得の面でかなりの打撃で、かといってソーシャル広告や公式サイトからのリード獲得もそこまで成果が出ていなかったという悩みもあって。

BtoBマーケティングの手法として、コンテンツ中心のインバウンドマーケティングの方が、獲得したリードが、shouin+で解決できる課題感を持っているとか、私たちのプロダクトに興味があるとか、そういった有利な状態でリードが流入してくるっていうのがあったので。

広告予算を削って、こちらのインバウンドマーケティングにシフトしていったという形ですね。

戸栗:多くのBtoBの企業さんは、今回コロナ、2020年の2、3月ぐらいからかな。コロナになって、オフラインの展示会とかセミナーとかができなくなって、リードソースがほとんどなくなっちゃったみたいな状況でしたと。コロナっていうのは、良くも悪くもデジタルシフトにだいぶ貢献したかなとは思っています。

強制的にシフトされることになったからこそ、御社同様に多くの企業が気付いたと思いますが、展示会とかセミナーとかから入ってくるリードって温度感もばらばらだし、それに対してインバウンドで獲得したリードは相手の状況もわかるし、その後の営業活動もしやすくなるということに気づく機会になったのかな、と思っています。

そこで、じゃあ、実際に御社の中で、そのインバウンドでやるためには、どういった施策を進めれば良いのか、優先順位があったと思いますが、インバウンドでやってくためには、優先順位や検討事項、検討理由など、どういったものがありましたか?

(委託されていた時の記事一例)

松木:先ほどお伝えしたサービスの公式サイトからのリード流入が、少しありました。あとは、私がマーケティング部に異動する前からオウンドメディアの運用が始まっていました。

ただ、運用していたとはいっても、外部委託のような形で、「こういうキーワードが良さそうです、こういう記事がよさそうです」っていうことを提案いただいてその記事を納品してもらうだけのような形でした。

自分たちでキーワードを考えることもなく、先方に丸投げ、それを公開するだけっていうような形になっていて、社内にノウハウがたまらないし、自分たちで作っている記事でもないので、品質も担保できない、よくない状態が続いていました。

そのように、リード獲得のチャネルは、いくつか持っててたんですけど、まずは広くリード数を獲得していく必要があるっていうところで、母数の多い潜在顧客をターゲットにするオウンドメディアに注力していこうと決めていった感じですね。

戸栗:私の考えではコンテンツ制作の丸投げ外注はご法度と考えています。これはいろいろな理由がありますが、外の人は自社のことを何も知らないので、バリュープロポジションなどを練り込むこともできないですし、トンマナもバラバラになり、ユーザーエクスペリエンス的に望ましくないと考えているからです。

おそらく御社もそのようなことに薄々気づき始めて、社内で体制構築しないといけないよね、という感じになったのではないかな、と思っています。その気付きを得た背景とか、そういったものを教えていただけますか。

松木:はい。まずオウンドメディアのなりたちを説明すると、「自分たちのメディアがあるよ」という状態を作りたくて作ったようなオウンドメディアでした。

そのため、リード獲得の後、どのようにナーチャリングするかとかは一切考えられていなかったですし、そもそも獲得の起点になるダウンロードコンテンツなども置いていなくて。

本当に、自分たちがブログをやってますっていうアピールだけのために作ってたサイトになってしまっていて...…。そこがリード獲得のソースとして使えてないのはもったいないよねっていう話で、そういった状況を変えることは、中村とも共通認識として持っていたところだと思います。。

戸栗:よくあるその立ち上げのフェーズ、事業の立ち上げや、マーケティングの立ち上げなど、上から話が突然降ってくることが多いと思います。

この事業やります、となった時に、マーケティング部の人たちがよく分からず何かしないといけないので、上の人たちに対して「やってる感」を見せるために、「とりあえず何かしています」という状況を作っているケースがちらほらとあるんですね。当初のオウンドメディアは、そういう状況に結構近かったっていう感じのイメージでしょうか。

松木:そうですね。ただ、我々は上長に何かして、と言われたからという感じよりは、競合他社がブログをやっているから、自分たちもやらなきゃっていう、ちょっと焦りみたいなものからオウンドメディアを作ったみたいな形でしたね。

戸栗:御社の場合だと、受託開発を事業の柱としながら、SaaSの新事業を立ち上げるというところでした。

新しくスピンアウトさせて事業をつくったっていう意味でいうと、その受託事業のほうから、リードを引っ張ってきてshouin+のほうに乗せていく。恐らくその事業立ち上げの段階ではできたと思うんですけれども、時間が当然たつと、そこにアプローチしても空振りするとか、焼畑的にリストが燃えてしまってる状態だと思います。

それも相まって、オウンドメディアを本格的に活用するみたいなタイミングと重なった、こういう理解で合っていますか。

松木:合っています。

戸栗:ありがとうございます。中村さんへのインタビュー(フェーズ0の段階)で説明していますが、2020年の6月ぐらいに中村さんから最初の接触が私にあり、6-7カ月ぐらいマーケティングチームを作ってリード獲得をしていくなら、こういう人材がいいですよと、いろいろとアドバイスさせて頂いておりました。

実は、新規で新卒採用するみたいな話もあったのですが、事業理解や顧客理解、社会人としての基礎体力がないことなどが理由から、新卒採用からのリード獲得の体制を作るのは難しいと思いますよ、という話になり、松木さんが異動するみたいな背景になりましたと。

それでスタートしていったので、恐らく松木さんが異動された時点で、私と一緒にやるっていうことは、既に決まってるみたいな状態でした。

そこで、実際に弊社とオウンドメディアを起点にリード獲得の体制を作るというスコープでお仕事をさせていただくことになり、まずペルソナとカスタマージャーニーを作り直すことになりました。

それまで外部の業者さんとされていたときっていうのは、このペルソナやカスタマージャーニー、もしくは、その業者さん以外に、プロダクトを作っていたりとかプロダクトを売るときとかに、御社の中で、ペルソナとかカスタマージャーニーみたいなものっていうのは、存在していたんでしょうか。

(当時の外部支援会社さんが提案したKWトピック)

松木:その外部業者さんが作っているかというのわかりません。ただ、この後お話しすることになると思うんですけど、自社で設定したペルソナは戸栗さんと一緒に作っていったペルソナとカスタマージャーニーのクオリティとは、ちょっとかけ離れているものでした。ペルソナは、すごくざっくりした定義になっていたと思いますし、カスタマージャーニーも、具体的に、ユーザーの行動を変化させるためにはどういう要素が必要かみたいな、そういう観点で作ったものではなかったと思います。

戸栗:ペルソナやカスタマージャーニーを会社の中で作ったりとか、外部の業者が作ったりとかすることはあることはあるんですけども。基本的には、そんなに精度が高くないっていうのと、何のために作ったんだっけ? みたいな感じの、実際の落とし込みだったりとかがないケースが多いと思っています(事例取材のち、結果的にペルソナは作成されていなかったことがわかる)。

その中で、特に落とし込みができてない証拠が、ジャーニーとデータ定義がリンクしていないというところです。

実際に、このデータの定義みたいなのも一緒に入らせていただいて決めることになったんですが。こういったことっていうのは、松木さんがペルソナとかカスタマージャーニーを作る段階から、こういうものが必要だっていうことは、予期はされていらっしゃいましたか。

松木:予期はしていました。ただ、データ定義と大きくリンクするフォームの使い分けに対しては、あまり意識がありませんでした。

戸栗さんとやっていくにつれて、ダウンロードコンテンツのダウンロードだったらもっと項目を減らしていい、逆に公式サイトから入ってくるリードだったらこの項目も入力してもらわないと、といった形で、そこで初めてフォームごとに、データを定義していきました。

戸栗:その中で、コンテンツマップも一緒に、松木さんと作っていくみたいな形になったんですけども、こういうのって、松木さんが今までやってきた業務とは全く違ったと思います。

これは恐らく専門的知識は別に必要なかったと思うんですね。お客様のことを理解していることが何より重要で、お客様の課題を解決するコンテンツは何なんだっけっていうのを、ただ深掘りすることを一緒にしていっただけだったと思います。

松木さんは、コンテンツマップを作る上で気を付けていたポイントとか、例えば、社内でこういうことを聞いて回ったとか商談を見たとかでいうと、コンテンツマップを作る上で工夫されてたところがあれば教えていただけますか。

松木:特別何か新しく知識を習得して作ったかっていうと、そうではないかなと思います。もともと自分はプロダクトチームだったので、当然製品のことは理解していますし、自分たちのお客様がどういう人たちかということもある程度分かっていました。

お客様が本当に知りたい情報はなにかということを、とことん突き詰めて考えながら作っていくっていうようなイメージだったかなと思います。

その中で、工夫した点でいうと、あまり対象読者を狭め過ぎないっていうところは、意識して作業していたとは思っていて。今自分たちが更新しているオウンドメディアでも、かなり幅広い、一見shouin+というサービスでは関係なさそうなテーマで記事を作っていたりするので、そういったところまで広げて、なるべくニーズを広くキャッチできるようにっていうのは、今でも工夫している点かなと思います。

戸栗:多くのブログメディアとかが最初にやっちゃうのが、作ってるコンテンツが、課題が顕在化しちゃってる人たちに対して作っちゃってるコンテンツが多いなと思っていて。

オウンドメディアのポイントっていうのは、課題を感じ取ってもらったりとか課題を具現化するというのかな。潜在的なところを顕在化させるっていうところに強みがあるなと思っていて。

それをやれることによって、ファネルでいうと、このファネルの入り口をすごく広げられることができるし、もちろんソーシャルメディアをそこに掛け合わせればさらに広げることもできますし。そういうとこだと思うので、そこに意識を当てていってもらった、そういう感じですね。

あと、コンテンツを作るときによくあるのが、結局作ったんだけども他競合のコンテンツと何も変わりませんよねみたいな...…(笑)。

結局、検索順位出てきたときに、1、2、3、4、全く同じで焼き増しじゃないかみたいな感じのものがすごく多いですよね。御社に入らせていただいたときとかに、そういうのは、「絶対やめないと駄目だ」っていうことはお伝えしました。それにあたって、競合との差別化のポイントの明確化(バリュープロポジション)をしてきました。

松木さんは、そのプロダクトに関わっていたので、そもそも差別化のポイントとかを明確に理解されていました。仮に、松木さんがそういうのを経験していない人だとした場合、これを、差別化のポイントを見つけるためにすべきコツみたいなもの頂けますでしょうか。

松木:まずは、サービスや競合に対する理解を深めるために、比較表を作ると良いかと思います。競合のツールが持っている機能っていうのはどういうものなのかを整理して、、あとはその強みみたいなところをいくつか書き出したような表を作って、まず整理すると思います。

それによって、プロダクト開発に携わっていなかった人でも、自社のツールと競合ツールの立ち位置、強み、弱みが把握できると思います。

あとは、そのコンテンツを作るときとかに、想定読者像を意識しながら作らないと、結局は何が伝えたいのかよく分からない記事になってしまったり、他社が作成した記事やコンテンツの焼き増しになってしまうので、そこは気をつけて取り組むと思います。

戸栗:ありがとうございます。ここまでが、大体フェーズ1ぐらいのタイミングで、ペルソナ、カスタマージャーニー、コンテンツマップ、データ定義を作りました。今回、松木さんがプロダクトに関わっていたっていうことが大きかったと思うのですが、全てが非常にスムーズだったんですね。

本導入事例を読んでもらってる方たちにも、お客様、競合他社、自社の理解、例えば、3Cやバリュープロポジションの理解をまずはとにかく高めて言語化してほしいな、と感じます。それらがそもそも言語化されていないとリード獲得も当てずっぽうになってしまいますし、適切なマーケティング活動を始めることができない原因は大概ここにありますので。

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